ナガレタゴガエル 

アカガエル科 アカガエル属 Rana sakuraii Matsui et Matsui, 1990

 

nagaretagogaeru01

メス、東京都

 
卵 ・ オタマ    鳴 き 声    文献 ・ 資料     写 真  

  このカエルの存在が知られるようになったのは、比較的最近のことです。近縁なタゴガエルとは、後肢のみずかきの発達がよいことと、雄の親指にできるタコが2つに分かれず、ひとつながりになっていること、また鳴のう(カエルはここをふくらませて鳴く)がないことなどで区別できます。繁殖期には雄の体や太股の皮ふが伸びてブヨブヨになり、簡単に見分けがつきますが、繁殖期以外に区別するのは難しい場合もあります。

分布

 本州の近畿から関東西部にかけての中央部

生態

 晩秋に山から渓流に降りてきて、水中の石の下で越冬します。上陸した子ガエルは、森林の林床で昆虫やクモ、ミミズなどを食べて育ちます。

生息場所

 低山地の森林帯。渓流周辺の山の斜面の森林で生活しています。

繁殖

  2~4月頃に活動を始め、渓流の本流で繁殖します。雄は水中で鳴いていますが、水の外からでは聞き取ることができません。卵は流されないように岩の下にしっかりと産みつけられます。ふ化したオタマジャクシは、水の流れを避けて、川底の砂利の中にもぐりこんで餌を食べずに変態します。

大きさ・色

 体長は、雄で平均45mm、雌で平均51mm。

保全情報

  • 県指定希少野生動植物種
    • 愛知県[2010年]
    • 岡山県[2013/03/15]

各県のレッドデータ情報

各県のレッドリストカテゴリーは、制定当時の環境省カテゴリーと同等の場合はそのままのカテゴリー名で書いています。
○はその県に生息している、---は生息していないことを示します。
*は、県独自カテゴリーを示します。

    カテゴリ   その他
北海道    ---  
青森県    ---  
岩手県    ---  
宮城県    ---  
秋田県    ---  
山形県    ---  
福島県    ---  
茨城県    ---  
栃木県   要注目種*(2004) → 要注目種*(2011) → 要注目種*(2018)  
群馬県   注目*(2002) → 情報不足(2012) → 準絶滅危惧(2022)  
埼玉県   希少種(1996) → 準絶滅危惧(2002) → 準絶滅危惧(2008) → 準絶滅危惧1型*(2018)  
千葉県    ---  
東京都(区部)    ---  
東京都(北多摩)    ---  
東京都(南多摩)   B(危急種)*(1998) → 絶滅危惧II類(2010) → 絶滅危惧II類(2021)  
東京都(西多摩)   C(希少種)*(1998) → 準絶滅危惧(2010) → 準絶滅危惧(2021)  
東京都(本土部)   準絶滅危惧(2021)  
神奈川県   希少種*(1995) → 希少種*(2006)  
新潟県   カテゴリーなし(2001) → 地域個体群(2016)  
富山県   絶滅危惧Ⅱ類(2002) → 絶滅危惧II類(2012)  
石川県   情報不足(2000) → 準絶滅危惧(2009) → 準絶滅危惧(2020)  
福井県   カテゴリーなし(2002) → 準絶滅危惧(2016)  
山梨県   要注目種(2005) → 要注目種(2018)  
長野県   情報不足(2004) → 情報不足(2015)  
岐阜県   情報不足(2001) → 情報不足(2010)  
静岡県   情報不足(2004) → 情報不足(2019)  
愛知県   情報不足(2001) → 絶滅危惧IA類(2009) → 絶滅危惧IA類(2015) → 絶滅危惧IA類(2020)   県指定希少野生動植物種
三重県   カテゴリーなし(1995) → 絶滅危惧II類(2005) → 準絶滅危惧(2015)  
滋賀県   希少種(2000) → 希少種(2005) → 希少種(2010) → 希少種(2015) → 希少種(2020)  
京都府   要注目種(2002) → 要注目(2013)  
大阪府    ---  
兵庫県   危急種*(1997) → 絶滅危惧II類(2003) → 絶滅危惧II類(2017)   *極力、生息環境、自生地の保全が必要な種
奈良県   情報不足(2006) → 準絶滅危惧(2016)  
和歌山県    ---  
鳥取県   その他重要種(2002) → 準絶滅危惧(2012) → 準絶滅危惧(2022)  
島根県   カテゴリーなし(1997) → カテゴリーなし(2004) → 情報不足(2014)    2014改訂で新規確認
岡山県   カテゴリーなし(2003) → 絶滅危惧I類(2009) → 絶滅危惧I類(2020)  
広島県    ---  
山口県   カテゴリーなし(2002) → 絶滅危惧IA類(2009)  
徳島県    ---  
香川県    ---  
愛媛県    ---  
高知県    ---  
福岡県    ---  
佐賀県    ---  
長崎県    ---  
熊本県    ---  
大分県    ---  
宮崎県    ---  
鹿児島県    ---  
沖縄県    ---  

ハペ文化

地方名

-

ハペ文化

-

その他

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文献・資料

書籍

  • 関慎太郎, 2021, 野外観察のための日本産両生類図鑑  第3版, 緑書房, 東京
  • カエル探偵団編, 2020, 見つけて検索!日本のカエルフィールドガイド, 文一総合出版, 東京
  • 松井正文・前田憲男, 2018, 日本産カエル大鑑, 文一総合出版, 東京
  • 松井正文, 2016, ネイチャーウォッチングガイドブック日本のカエル, 誠文堂新光社, 東京
  • 関慎太郎, 2016, 野外観察のための日本産両生類図鑑, 緑書房, 東京
  • 内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎, 2002, 決定版日本の爬虫両生類, 平凡社, 東京
  • 前田憲男・松井正文, 1999, 改訂版日本カエル図鑑, 文一総合出版, 東京

学術論文

著者, 発行年, 論文タイトル, ジャーナル名, 巻号, ページ

原記載(1990年)

  • Matsui, T., and M. Matsui. 1990. A new brown frog (genus Rana) from Honshu, Japan. Herpetologica 46: 78–85.

最新記載(2016年)

  • Yuan, Z.-y., W.-w. Zhou, X. Chen, N. A. Poyarkov, Jr., H.-m. Chen, N.-H. Jang-Liaw, W.-h. Chou, N. J. Matzke, K. Iizuka, M.-S. Min, S. L. Kuzmin, Y.-p. Zhang, D. C. Cannatella, D. M. Hillis, and J. Che. 2016. Spatiotemporal diversification of the True Frogs (Genus Rana): A historical framework for a widely studied group of model organisms. Systematic Biology 65: 824–842.

ウェブ・メディアなど

  • ウェブ名称など, URL
  • 新聞など媒体名, 発行年月日, 記事見出し, (URL)

その他

  • その他

2022-09-03