印刷

ヤエヤマカジカガエル 

アオガエル科 カジカガエル属 Buergeria choui Matsui et Tominaga, 2020

 

yaeyamakajikagaeru01

オス、沖縄県西表島

 
卵 ・ オタマ    鳴 き 声    文献 ・ 資料     写 真  

 これまでリュウキュウカジカガエルB. japonicaとされていた八重山諸島と台湾北西部の集団が遺伝的な分化程度や外部形態の違いに基づき2020年に別種とされました。

分布

 沖縄県の八重山諸島(石垣島、西表島、竹富島、小浜島など)と台湾北西部

生態

 孵化した幼生は1か月程度で変態します。幼生は水深1cm程度の緩い流れから、流れの付近にできた水たまりなど止水環境でも見られます。幼生の最大サイズは全長で30-35㎜程度。アオガエル科ですが、普段は地面で見かけることが多く、高い樹木に昇るようなことはないようです。成熟までの年齢、成熟後の寿命も不明ですが、寿命は短いと思われます。繁殖期には、産卵場所の緩い流れにオスが多数集まりますが、産卵場所でのメスの個体数はオスよりもずっと少ないです。餌動物は不明ですが、森林や水辺の小動物を捕食していると思われます。

生息場所

 リュウキュウカジカガエルと同様に海岸付近、平野部から山地の緩い流れのある環境に多産します。

繁殖

 3月から11月が主な繁殖期。繁殖期には多数のオスが産卵場所付近に集まり、鳴きかわします。雄は、水面から出た小石や落ち葉、枝などや、岸辺で鳴くことが多いです。オスの鳴き声は非常に高く、キリッ、キリッ、キリ、キリキリキリリリリリリリリリリーーというような声が主要な鳴き声ですが、そのほかにも異なる鳴き声のパターンがあります。緩い流れがあれば、河口近くの流れから、道路わきの側溝、山地の河川沿いの細流など幅広い環境で産卵します。産卵場所の水深は1-2㎝程度と浅いことが多いようです。卵径は1-1.5㎜程度で、動物極側は褐色で、植物極側はクリーム色。緩い流れに、卵塊を作らずに、ばらまくように産卵されます。卵は水底に沈んで、堆積物に軽く付着していることが多いようです。卵は数日内に孵化するようです。

大きさ・色

 オスで頭胴長が25-29㎜程度、メスで頭胴長が30-35㎜程度。繁殖期のオスは少しくすんだ黄色になりますが、非繁殖期などは黄褐色から灰褐色です。メスは褐色や灰褐色であることが多いようです。背面には大腿部には特徴的な縞模様が見られ、背面にもX字状の模様がみられます。下顎の縁には、9-18個程度の黒い斑紋がみられます。

保全情報

  • -

各県のレッドデータと保全情報

各県のレッドリストカテゴリーは、制定当時の環境省カテゴリーと同等の場合はそのままのカテゴリー名で書いています。
○はその県に生息している、---は生息していないことを示します。
*は、県独自カテゴリーを示します。

    カテゴリ   その他
北海道    ---  
青森県    ---  
岩手県    ---  
宮城県    ---  
秋田県    ---  
山形県    ---  
福島県    ---  
茨城県    ---  
栃木県    ---  
群馬県    ---  
埼玉県    ---  
千葉県    ---  
東京都    ---  
神奈川県    ---  
新潟県    ---  
富山県    ---  
石川県    ---  
福井県    ---  
山梨県    ---  
長野県    ---  
岐阜県    ---  
静岡県    ---  
愛知県    ---  
三重県    ---  
滋賀県    ---  
京都府    ---  
大阪府    ---  
兵庫県    ---  
奈良県    ---  
和歌山県    ---  
鳥取県    ---  
島根県    ---  
岡山県    ---  
広島県    ---  
山口県    ---  
徳島県    ---  
香川県    ---  
愛媛県    ---  
高知県    ---  
福岡県    ---  
佐賀県    ---  
長崎県    ---  
熊本県    ---  
大分県    ---  
宮崎県    ---  
鹿児島県    ---  
沖縄県    

ハペ文化

地方名

-

ハペ文化

-

その他

リュウキュウカジカガエルが2種に分割された。(2020年11月8日変更、爬虫両棲類学会より)

 

文献・資料

書籍

  • 関慎太郎・(監修)松井正文, 2021, 野外観察のための日本産両生類図鑑 第3版, 緑書房, 東京

学術論文

著者, 発行年, 論文タイトル, ジャーナル名, 巻号, ページ

原記載(1861年)

  • Hallowell, E. 1861 "1860". Report upon the Reptilia of the North Pacific Exploring Expedition, under command of Capt. John Rogers, U.S. N. Proceedings of the Academy of Natural Sciences of Philadelphia 12: 480–510.

最新記載(2020年)

  • Matsui, M., & Tominaga, A. 2020. A New Species of Buergeria From the Southern Ryukyus and Northwestern Taiwan (Amphibia: Rhacophoridae). Current Herpetology, 39(2), 160–172.
  • Liem, D. S. S. 1970. The morphology, systematics, and evolution of the Old World treefrogs (Rhacophoridae and Hyperoliidae). Fieldiana. Zoology 57: vii + 145.

ウェブ・メディアなど

  • 琉球大学富永研究室,  お知らせ・活動報告, 八重山のカエル2種の記載, http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~tominaga/posts/post15.html
  • 八重山毎日新聞, 2020.09.05, 八重山 カエル2種が新種と判明 独自の形成過程示す ヤエヤマヒメアマガエル ヤエヤマカジカガエル(http://kyodoshi.com/article/7501)
  • ウェブ名称など, URL
  • 新聞など媒体名, 発行年月日, 記事見出し, (URL)

その他

  • その他