シュレーゲルアオガエル
アオガエル科 アオガエル属 Zhangixalus schlegelii (Gunther, 1859)
メス、千葉県 | ||||||
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卵 ・ オタマ | 鳴 き 声 | 文献 ・ 資料 | 写 真 |
形態や雌の大きさ、色彩がニホンアマガエルに似ているため、しばしば混同されるが、本種は体も大きく暗色の斑紋をもたないことで区別できます。水田の畔の土中に白い泡状の卵塊を産みます。
モリアオガエルとは、本種がより小型、背中の皮膚が平滑、眼の虹彩が金色であることなどから区別できます。また、雄はアマガエルと混同されやすいのですが、本種には鼓膜から鼻にかけての黒い条や背中のH字状の斑紋がないことから区別できます。
分布
本州、四国、九州、五島列島です。
生態
低地から標高1600mほどの高地分布し、平地と低山地では水田周辺、高地では湿原に多いです。おもに大型草本や樹木の上で暮らし、小昆虫類を捕食します。
生息場所
丘陵地から平野部までの水辺の周辺の林や草地に生息しています。
繁殖
繁殖期は3月から6月です。水際の斜面の地中に雌が巣穴を掘り、直径40~80mmの白い泡状の卵塊を産みます。
大きさ・色
成体の体長は、雄で32~43mm(平均35mm)、雌で40~55mm(平均46mm)です。体色は緑色で、個体によっては背に黄色の小斑点が散在します。繁殖期の雄ののどには黒い色素が密に広がります。
卵は黄白色で、直径約2.5mmです。オタマジャクシは、降雨により巣穴から流れ出し、水中で成長、最大で全長約50mmに達し、6月から8月に変態します。
保全情報
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各県のレッドデータと保全情報
各県のレッドリストカテゴリーは、制定当時の環境省カテゴリーと同等の場合はそのままのカテゴリー名で書いています。
○はその県に生息している、---は生息していないことを示します。
*は、県独自カテゴリーを示します。
カテゴリ | その他 | |||
北海道 | ブルーリストh(2004) → ブルーリストh(2010) → ブルーリストE**(2019) | **北海道の外来種リスト | ||
青森県 | ○ | |||
岩手県 | ○ | |||
宮城県 | ○ | |||
秋田県 | ○ | |||
山形県 | ○ | |||
福島県 | ○ | |||
茨城県 | ○ | |||
栃木県 | 準絶滅危惧(2005) → 準絶滅危惧(2011) → 準絶滅危惧(2018) | |||
群馬県 | 注目*(2002) → ○(2012) → 準絶滅危惧(2022) | |||
埼玉県 | (低地帯では)希少種(1996) → 地帯別危惧*(2002) → 地帯別危惧*(2008) → 準絶滅危惧2型*(2018) | |||
千葉県 | 準絶滅危惧(2000) → 準絶滅危惧(2006) → 準絶滅危惧(2011) → 準絶滅危惧*(2019) | |||
東京都(区部) | B(危急種)*(1998) →絶滅危惧IA類(2010) → 絶滅危惧IA類(2021) | |||
東京都(北多摩) | C(希少種)*(1998) →絶滅危惧II類(2010) → 絶滅危惧II類(2021) | |||
東京都(南多摩) | C(希少種)*(1998) →絶滅危惧II類(2010) → 絶滅危惧II類(2021) | |||
東京都(西多摩) | カテゴリーなし(1998) →準絶滅危惧(2010) → 準絶滅危惧(2021) | |||
東京都(本土部) | 準絶滅危惧(2021) | |||
神奈川県 | 減少種*(1995) → 要注意種*(2006) | |||
新潟県 | ○ | |||
富山県 | ○ | |||
石川県 | ○ | |||
福井県 | ○ | |||
山梨県 | ○ | |||
長野県 | ○ | |||
岐阜県 | ○ | |||
静岡県 | ○ | |||
愛知県 | ○ | |||
三重県 | ○ | |||
滋賀県 | 要注目種(2000) → 要注目種(2005) → 要注目種(2010) → 要注目種(2015) → 要注目種(2020) | |||
京都府 | 要注目種(2002) → 要注目種(2015) | |||
大阪府 | 要注目*(2000) → 準絶滅危惧(2014) | |||
兵庫県 | 希少種*(1997) → 準絶滅危惧(2003) → 準絶滅危惧(2017) | *存続基盤が脆弱な種 | ||
奈良県 | カテゴリーなし(2006) → 準絶滅危惧(2016) | |||
和歌山県 | ○ | |||
鳥取県 | ○ | |||
島根県 | ○ | |||
岡山県 | 留意種*(2003) → 留意*(2009) → 準絶滅危惧(2020) | *絶滅のおそれはないが,岡山県として記録しておく必要があると考えられる種 | ||
広島県 | ○ | |||
山口県 | ○ | |||
徳島県 | ○ | |||
香川県 | ○ | |||
愛媛県 | カテゴリーなし(2003) → 情報不足(2014) → 情報不足(2020) | |||
高知県 | ○ | |||
福岡県 | ○ | |||
佐賀県 | ○ | |||
長崎県 | ○ | |||
熊本県 | ○ | |||
大分県 | ○ | |||
宮崎県 | ○ | |||
鹿児島県 | ○ | |||
沖縄県 | --- |
ハペ文化
地方名
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ハペ文化
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その他
旧学名: Rhacophorus schlegelii (Gunther, 1859):Rhacophorus属の分割による学名の変更によって、日本産のアオガエル属は全てZhangixalusとなった。(2020年9月7日変更、爬虫両棲類学会より)
書籍
- 日本爬虫両棲類学会編, 2021, 新日本両生爬虫類図鑑, サンライズ出版, 滋賀
- 関慎太郎, 2021, 野外観察のための日本産両生類図鑑 第3版, 緑書房, 東京
- カエル探偵団編, 2020, 見つけて検索!日本のカエルフィールドガイド, 文一総合出版, 東京
- 松井正文・前田憲男, 2018, 日本産カエル大鑑, 文一総合出版, 東京
- 松井正文, 2016, ネイチャーウォッチングガイドブック日本のカエル, 誠文堂新光社, 東京
- 関慎太郎, 2016, 野外観察のための日本産両生類図鑑, 緑書房, 東京
- 内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎, 2002, 決定版日本の爬虫両生類, 平凡社, 東京
- 前田憲男・松井正文, 1999, 改訂版日本カエル図鑑, 文一総合出版, 東京
学術論文
著者, 発行年, 論文タイトル, ジャーナル名, 巻号, ページ
原記載(1858年)
- Günther, A. C. L. G. 1858. Neue Batrachier in der Sammlung des britischen Museums. Archiv für Naturgeschichte. Berlin 24: 319–328.
最新記載(1987年)
- Dubois, A. 1987 "1986". Miscellanea taxinomica batrachologica (I). Alytes. Paris 5: 7–95.
- Jiang, D., Jiang, K., Ren, J., Wu, J., & Li, J. (2019). Resurrection of the genus Leptomantis, with description of a new genus to the family Rhacophoridae (Amphibia: Anura). Asian Herpetological Research, 10(1), 1–12. 10.16373/j.cnki.ahr.180058
- 島田知彦・江頭幸士郎 (2019) 2013年以降に記載ないし,分類変更された日本産無尾類について. 爬虫両棲類学会報, 2019巻2号, 195–202
- 和田干藏. 1936. 青森市附近に於けるシュレーゲルアヲガヘルに就ての2.3の觀察. 青森博物研究會會報 (3): 1-12.
ウェブ・メディアなど
- ウェブ名称など, URL
- 新聞など媒体名, 発行年月日, 記事見出し, (URL)
その他
- その他
2022-09-03